今年の秋華賞はオークスとローズSを制したシンハライトがレースを回避し、オークス3着馬で紫苑S1着のビッシュが繰り上がっての1番人気。過去10年の成績を見れば1番人気は良い成績を残しているが(3-1-3-3)、「イマイチ紫苑S組が信用できない…」というファンも多いのではないだろうか?
紫苑Sは今年から重賞に格上げされたレース。逆にこれまで前哨戦として有名だったクイーンSからは今年は出走予定馬はゼロ。紫苑Sのレースとメンバーを見ると、そこまでレベルが高いなぁという印象は見受けられない。メンバーのレベルは勝ち馬意外はローズSの方が全然上と見てよいだろう。
しかし勝ったビッシュは評価して良いだろう。フルゲート18頭で大外18番からのスタートとなり、前半は無理せず控えて競馬。後半は3,4コーナーで外から先団に並びかけていき、直線で維持して抜け出した。2着馬との着差は2馬身半差で、2着馬のヴィブロスも3着以下を3馬身以降突き放している。ヴィブロスより下に5馬身以上の差をつけていることからも、このレースでは一頭格が違ったと言えるだろう。
ビッシュのオークスや紫苑Sでの走りを見る限り、一瞬のキレ味で勝負するタイプではなく、長く良い脚を使うタイプ。京都のこの舞台はやはりスピード・瞬発力に優れた馬から狙いたいわけで、そういう意味でも一瞬の脚が持ち味だったシンハライトはここがベストな舞台であったことが伺える。
そのシンハライトが回避したことで、ビッシュがメンバーの中で能力的にトップに立ったことは間違いない。とは言え脚質然り、悩ましい点はいくつかあるので以下に紹介しよう。
秋華賞(2016)|ビッシュの3つの不安要素
1.馬体重
ビッシュは前走の紫苑Sで馬体重420kg。オークス時に前走時から+12kgの416kg。やっとここまで馬格を上げてきたが、基本的には小柄な馬で馬群が混み合う小回りレースでやっていけるかどうかというところが不安要素となっている。
前走の紫苑Sである程度出来上がってきている可能性が高いので、ここからまた更に調子があがってくるかと言われると微妙なところ。調教内容と当日の馬体重チェックは必須。
2.輸送
ビッシュは今回関西へは初遠征となる。これまで中山と東京しか走ってこなかったので、長距離輸送が初めてのとなる今回は慎重になりたい。秋華賞は関西馬が優勢なデータもあるので(栗東【8-7-7-82】美浦【2-3-3-67】「秋華賞の傾向|過去10年のデータ」)、重い印を打っているファンの方は馬体重、パドック診断など最終チェックを怠らないようにした方がいいかも。
3.紫苑Sからのローテーション
これも過去データからの傾向の話になるのだが、紫苑Sから進めてきた馬で秋華賞で馬券に絡んだ馬は過去10年でショウナンパンドラの1頭のみとなっている。
紫苑Sは昨年までOPで、今年からは重賞レースに格上げされているのでメンバーのカラーが変わってステップの傾向が多少変わっている可能性もあるが、やはり形態が全く違う中山コースからのローテーションはいささか不安である。
以上、3つの不安要素をあげさせていただいたが、最終的にはデータを重視する者としては買いづらいという点につきる。不安要素をあげておいて言うのも何だが、今年のメンバーの有力馬の中では不安要素は一番少ないと感じる。あとは相手関係との比較だけだろう。
一瞬のキレ味は無くても、ビッシュには道中後方から早めに好位に取り付き直線入り口で先頭に並びかけるといった競馬ができる。過去のデータや傾向を覆すくらいの走りに期待してみるのも良いかもしれない。
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